予見可能性と回避可能性

 予見できたと仮定したら,次は回避可能性の問題になる。鉄道事故で回避可能性はあまり問題にならない。というのは列車を危険察知段階で即時に停めれば,衝突も人身事故も防げるからだ*1。駅のホームにも車内にも「非常通報ボタン(昔の「非常停止ボタン」)」があるのはその典型例。最新のCTCやWTCつまり広域CTC(ATOS,SUNTRAS,NOA等)では列車の冒進や異常進行を検知すると前後及び併進の閉塞区間に一斉停止信号を送るシステムが増えているのがその例*2
 ところが飛行機はそうはいかない。停まったら墜落するからだ*3。そこでTCAS*4は,警告音と共に「ディセンド!ディセンド!」あるいは「クライム!クライム!」*5と絶叫して,高度差設定の「回避指示(RA:Resolution Advisory)」を出すわけである。あまり心臓に良くない絶叫調であるけれど。*6

*1:もちろん,鉄路で「レフトターン・イミディトリ!」や「プル・アップ!」というボケた指示が無意味なこともあるけど(。_・☆\ ベキバキ

*2:古くは新幹線鳥飼基地事故で衝突を回避した例。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E9%81%93%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A%E5%A4%A7%E9%98%AA%E9%81%8B%E8%BB%A2%E6%89%80%E8%84%B1%E7%B7%9A%E4%BA%8B%E6%95%85

*3:もちろんヘリコや気球や飛行船は別w あとVTOL機も。

*4:「空中衝突防止装置(Traffic alert and Collision Avoidance System)」http://ja.wikipedia.org/wiki/TCAS

*5:対地接近警報装置GPWS(http://ja.wikipedia.org/wiki/GPWS)のボイスアラート「プルアップ!プルアップ!」と区別するため「這い上がれ!登れ!上昇せよ!」になったらしい。どちらも聞きたくないドキっとするアラートであるが。

*6:この機械音声指示RAを実機で飛行中に聞いたら,心拍数が120以上となること請け合いである。