FCの悲劇

 フラッグキャリアは,どこも悲劇である。政府からの様々な要求要望に無理をして応えなければならず,しかも,アズナンバーワンのトップリーダの宿命から,業界一の高賃金と高品位サービスという面子圧力があるし,みっともないディスカウントチケットのダンピングができない*1
 その代わり,欧米主要国を除けば,政府の手厚い保護と財政援助が期待できる。いわば,ナショナルフラッグキャリアの面子代と所場代が国庫から支給される。しかし,日本と米国と英国では20年前から期待できなくなった。
 しかしながら,高賃金とこれに連動する高額企業年金は残存するしかないし*2,赤字路線撤退なんぞもってのほかとローカル空港の首長が怒鳴り込んでくる。*340〜20年前だったら,機種選定にも,事故処理人事にも,政府(政治家と運輸省官僚)が介入した苦い経験がある。*4

*1:欧州便ディスカウントチケットは長らく大韓航空の独壇場だった歴史がある。

*2:労働組合も四分五列なのに業界一強いアズナンバーワンである。

*3:パンナムの主要海外線は恒常的赤字でも国内の存続圧力があったのと類似。

*4:ロッキード事件御巣鷹山事故の社長辞任劇を思い出そう。JALのB4の1号機と2号機の内装がどこかANAの匂いを彷彿させたのは偶然でしょうね(笑……笑えないい秘話。